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８ Ａ少年との出会いここでちょっと話は変わります。 ある少年との出会いについて書きたいと思います。 その少年は中学生で、長い間学校には行かず、ずっと家に引きこもって生活していたそうです。その少年を私が手伝っているＮＰＯで受け入れることになり、そのほとんどを私が見ることになったのです。長く引きこもっていた子どもを、全く素人の私が！ 一体どうすればいいんだろう？ 不安は募るばかりでした。 学校へ行かない少年と社会から落ちこぼれた私、奇妙な組み合わせです。そのようにして彼と過ごす日々が始まりました。１日６〜８時間、週に４日の彼との生活は想像していた以上に私を消耗させました。私の言うことなど全く聞き入れてくれず、何度も何度もぶつかりました。私自身、自分の境遇に悲観している時に彼のわがままを受け入れる心の余裕など全くありませんでした。そして何よりも自分の気持ちを偽って人と接するのは苦手でした。 そんな彼との衝突の日々を過ごす中で発見したものがあります。それは"創作を通したコミュニケーション"です。彼はとても器用で、工作している時は別人のように生き生きとしているのです。そこで彼が工作に熱中している時は私もその辺の廃材を使って適当なものをちょっと作ってみたりします。小さな部屋に二人きり、お互いに各々の創作活動に没頭します。ほとんど会話することもなく、はさみで紙を切る音やセロハンテープを引っ張る音がするだけの心地よい時間が流れます。時々お互いの作品を見て感想を言ったり意見を交わしたりしながら過ごしていると…不思議と心が通じ合ったような気がするのです。こうして彼と創作を通してコミュニケーションしながら半年間を過ごしました。驚くことに彼はほとんど休むこともなく時間通りに通ってきました。どんなに喧嘩しても翌日彼はやってきました。 創作を通してコミュニケーションすることで心と心を通わせることができるというのは大きな発見でした。考えてみると創作も五感をフルに使うので、コミュニケーションとよく似ています。 そして何となく自分の方向が見えてきました。 |
| ７ 人生ゲームに見る価値観 | ８ Ａ少年との出会い | ９ ひまじん研究所設立 |
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